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私にとっての ジョイフル・ウォーク 1

「Dialog in the Dark」 って?

三上 洋

私にとってのジョイフル・ウォーク  その1

1.健常者以上の好奇心をもつ

えっ、「ジョイフルウォーク」? あー、ウロウロすることですね。それなら私に任せて下さい。
まず、障害者がウロウロする場所を見つけるコツから話してみましょう。
何よりも大事なことは、健常者以上の好奇心を持つことです。どんなところへでも自分から足を運んでいこう。何にでも触れてみよう。ただし、あまり触れすぎると何かと間違われますから気をつけてね。そして、人の協力は必要ですが、介護者に依存するのではなく、自分の体で経験することです。
私の場合は、一度行った場所は必ず自分の頭に、地図として書き込むんです(これをメンタルマップといいます)。地下鉄の乗り換えや改札口の位置などは、点字の点線を利用して覚え込むんです。だから、やっかいな地下の通路もそれほど苦にならないというわけです。健常者には地下を敬遠する人が多いようですが、私には騒音だらけで、いつ雨に打たれるかも知れないような一般の道路より、よほど地下の道路の方が安心するというわけです。もちろん、人にはよくぶつかりますが、そんなことは気にしない気にしない。「スミマセン」の一言さえ言えばすむんですから、車や自転車にぶつかるよりはよほどマシですね。

四国・松島・梅津寺

それでは、次に私が今までに特に印象に残っている場所や経験についてお話しましょう。私は、この歳になっても遊園地めぐりが好きで、東京ディズニーはもとより、全国のいろんなところに行きました。ただし、遊園地の場合は、障害者に対するアクセスは非常に不十分ですから、1人での行動は苦労しますヨ。そのかわりということかどうかわかりませんが、ソフトの部分、つまり係員の対応は見るべきものがありますネ。例えば四国の松山の梅津寺にある遊園地などは、とてもいい気分でした。係員の若い女の子が最初から最後までずっとついていてくれましたから。
この時、一番印象に残っていることですが、何だか珍しそうな名前の乗り物を紹介されたので、私のいつもの好奇心を旺盛にして早速乗ってみました。ところが、それは小さな子供が乗る単なるメリーゴーランドだったもので、ちょうど昼御飯を食べていた幼稚園児たちに「大人のおっちゃんが乗ってるわ」と笑われて、とんだ大恥をかいてしまいました。

信州・小海線・清里

次に、旅行の大好きな私は、旅先でいろんな経験をしています。時には命を失いかけたこともありました。私はなるべく旅館の食事はとらず、その土地の名物や独特の味を楽しむことにしています。高知へ旅行した時のことですが、そのときも「危ないから」という旅館の人たちの反対を押し切って1人で外へ食事に出たのですが、曲がり角を1つ間違えたようで、気が付いたときには川の中で水浸しになっていました。あの時の驚きは今でも忘れられませんが、それでも私は全然後悔はしていません。
もちろん、危険を好んでいるわけではありませんが、逆に危険を恐れていては興味深い経験などできないでしょうネ。目は見えなくても、やはり旅行は楽しいものですヨ。その土地その土地のにおいや、人々との話す方言や人間性、料理の味など楽しめることはいくらでもあるのです。
以前、小海線の清里というところへ友人と旅行しましたが、そのときサイクリング用の自転車を借りたんです。その友人が、「この道は何もないから、おまえ運転してみろ」というんです。少し怖かったけど、その友人を後ろに乗せてこいでみたらスムーズにいけるんですね。楽しかったですねぇ。自転車なんて子どもの頃乗ったきりで、もう乗る機会なんてないと思っていましたからね。
飲み屋もいいよ
最後に、障害者が地域をウロウロしたり、旅行したりする上ではハード面ももちろん大事ですが、それ以上にまわりの健常者の関わりは大きいです。どこで、どんな人と出会ったか、どんな協力をしてくれたか、どの店の店員はすごく親切だったからまた行ってみよう、こんなふうに私にとっては大いに大事な要素なんです。
大阪の千里中央にあるロッテリアですが、ここは実にすばらしかった。もちろん、ハンバーガーの味は何ということはないんですが、店員の関わり方が実にいいんです。過剰な介護はせずに、それでいて必要なことは素早く援助してくれる。これこそが、障害者の「ジョイフルウォーク」の必須条件でしょうネ。

   
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