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2003年4月4日発行 第15号

「聞こえの相談会」考 7

「聞こう」という意欲こそ肝心

「聞こえの相談会」には、実に、いろいろな方が見える。その都度、大いに勉強させていただいているのだが、このごろ、「聞こうという意欲こそが肝心だな」とつくづく思うのである。ご本人がその気にならなければ、周囲がどんなにやかましく言っても、一歩も前進しない。当たり前のことだが、その「当然のこと」が難しい。

私が最近、感心したのは、骨形成不全という病気で車いすの生活をされている娘さんの例である。

骨の生育が妨げられ、その結果、からだの発育が抑えられ、車いすの生活を余儀なくされた。介護のボランティアの方に車いすを押してもらって、お見えになった。話によると、骨形成不全の方は止まって、その面の治療はもう受けていないという。そのかわり、20代から30代にかけて、耳の耳小骨に異常があらわれ、その結果、少しずつ聞こえにくくなっていくそうだ。

測定すると、確かに、聴力は落ちている。手術を受けるということらしいが、「聞こえが落ちるのは困る」「手術で少し良くなるかも知れないが、それまで時間がかかりそうで、その間、聞こえにくい、というのが困る」と対策を求めて見えられた。

快活で、積極的で、すばらしい娘さんである。からだが不自由なために、彼女にとっては、「聞こえ」が重要なコミュニケーション手段であり、活動手段なのであろう。そういう意欲は補聴器など使用する機器の性能にも何らかのプラスを付加するようだ。

もとより、手術の際と、手術後については、その状況をみながら、また、新たに対応することになるのだろうが、「聞こう」という強い意志があれば、若干の困難は乗り越えられそうに思った。強い意思の力、強い意欲の力のすごさを、あらためて感じ取った。

私の周囲には、完全失聴に至らないのに、早くから自分の意思で「聞く」ことをあきらめてしまった人がたくさんおられる。生活範囲を縮小して対応されており、それはそれなりに、一つの方法ではあろう。しかし、言葉による情報と手話などによる情報とでは、情報の量において格段の差がある。もったいないな、と思ったりする。

それに、最近は他に障害をお持ちの方で、加えて聴力も落ちてきたと相談に見えられる方が多い。全く見えない全盲のおばあさん、戦争や事故でケガをなさったり、病気でご不自由になられた方などで、これまでもいろいろとご苦労を重ねてこられた方なので、心がいたむ。有効な対策がない場合もあり、その際は、誠心誠意、お話をうかがうようにしている。

ただ、なかには、「聞こう」という意欲の点では申し分ないものの、補聴器などで100%カバーできるものと思われている方もあり、対応に苦慮することもある。「オール・オア・ナッシング」という発想は耳の場合、マイナスにしか作用しない。補聴器の問題だけではなく、「聞こえ」をめぐる総合的な問題についての啓発活動の不足を痛感している。

   
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